専門家に聞く「最近増えている相談」
順天堂大学医学部 下部消化管外科 主任教授 上原圭先生
Interview
最近は、どのような相談が多いですか?
「切除できるか」という相談だけではなく、複数の治療選択肢の中から、
どの治療戦略を選択すべきかという相談が増えている印象です。
例えば、局所再発に対して手術を行うべきか、薬物療法を継続すべきか、
あるいは重粒子線治療の適応があるのか、といった治療方針に関する相談です。
また、切除可能と判断される症例でも、すぐに手術を行うべきか、
それとも術前治療を先行させるべきかなど、治療のタイミングや順序について意見を求められることも少なくありません。
以前は「治療できるか」「切除できるか」が主な相談でしたが、
最近では根治性だけでなく、治療侵襲やQOL、さらには将来の治療選択肢も含めて、
「患者さんにとって最適な治療戦略は何か」を一緒に考える相談が増えていると感じています。
最近、高齢患者さんの治療選択に関する相談も増えていますが、
どのような点を重視されていますか?
年齢だけで治療方針を決めることはありません。
重視しているのは、全身状態や併存疾患、身体機能に加え、治療によって期待できる効果と負担のバランスです。
また、患者さんご本人が治療後にどのような生活を望まれているのか、
どのようなことを大切にされているのかも、治療方針を決めるうえで重要な要素になります。
「何歳だからこの治療」という考え方ではなく、一人ひとりの状態や価値観を踏まえ、
その患者さんにとって最適な治療目標を設定することが大切だと考えています。
「治療できる」と「その治療を選ぶ」は違うのでしょうか?
勿論です。
例えば外科治療では、技術的に切除可能であっても、必ずしも「切除可能=手術が最善」とは限りません。
同じ病気の状態であっても、患者さんの全身状態や併存疾患、年齢、
さらには患者さん自身がどのような生活を望まれているかによって、最適な治療は異なります。
手術だけでなく、薬物療法や放射線治療なども含め、それぞれの治療には期待できる効果と負担があり、
そのバランスを十分に考慮する必要があります。
エビデンスに基づく推奨は重要な判断の基盤ですが、唯一の正解があるわけではなく、
患者さん一人ひとりにとっての最適解を考えることが重要です。
そのためには、それぞれの治療を実際に行っている専門医から、治療成績だけでなく、
合併症や治療後の生活への影響も含めた実際のメリット・デメリットについて十分な説明を受け、
患者さんと医療者が納得したうえで治療方針を決定することが大切だと考えています。
どのような段階で相談してほしいですか?
治療方針に迷う、患者さんへの説明に悩む、
あるいは自施設での経験が限られている治療を検討している場合には、ぜひお気軽にご相談ください。
一人で判断を抱え込む必要はありません。複数の専門家で検討することで、
患者さんにとってより良い治療戦略が見つかることも少なくありません。少しでも迷われたら、ぜひお気軽にご相談ください。
それが患者さんにとってより良い治療につながり、結果として医療者にとっても安心して治療方針を決定できることにつながると考えています。
「治療できるか」から、「この患者さんには、どの治療を選ぶべきか」へ。
治療選択に迷ったとき、専門施設ではどのように考えるのか。
CONNECT-RCでは、実際の症例をもとに専門医の意見を聞くことができます。